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テレサ高橋正江さん

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上智大学図書館テレサ高橋正江様
調べるためには、電子の形態がぴったり

Qレファレンスは図書館に必要だと思われますか?
Aこのような質問を受けると、自分の存在意義を問われているようで、どきっとするのですが、研究・学習・そして読書の窓口あるいは道しるべとしてのレファレンスは必要だと思います。公共図書館や高校までの図書館はおそらく広い一般教養的なレファレンスを求められると思います。一方、大学の図書館は、レポートや論文作成のためのレファレンスを求められるのではないでしょうか。
Q冊子体のレファレンスはどれくらい揃えていらっしゃいますか?
A 和書は約1万冊、洋書は約6千冊を保有しています。
Q冊子体のレファレンスの場合、問題点(限界)はどのようなことだと思われますか?
特に図書館で抱えていらっしゃる問題点があれば教えていただけますか?
A配架場所の問題が挙げられます。上智大学でもレファレンス書架が逼迫したため、2002年にレファレンス資料の見直しを行い、かなりの数の資料を保存書庫に移しました。また、資料価値の低下したものは除籍したりもしました。これらの冊子体資料は、他人が利用していれば利用できないという物理的な制約があります。その点、GVRLは一度に何人もの人が利用できます。もう一つ、冊子体の限界には、開かなければその資料がある人に有益かどうかわからないということもあげられます。一冊一冊あけるのは効率がよくありません。その点電子の資料は横断して検索することもができるので、ピンポイントで探すことができます。
百科事典のもつ専門性とシンプルさ
Q上智大学でGale Virtual Reference Library (以下GVRL) を導入されたきっかけを教えてください。
A2005年の冬に代理店さんからオンラインのよいレファレンス資料があるとの案内を受けていました。幸い年度末の予算の確保ができたことから、GVRLを導入しようという話になりました。
QGVRLをご紹介する前と後で、eBookに対するイメージや認識は変わられましたか?
Aそのとき既に、別のeBookを導入していました。それは読むための本でした。でもあま り使われていないようなので、eJournal と違ってeBookは視覚的に限界があるのでは と思っていました。ところがGVRLを知り、調べるためには電子の形態がぴったりであ ることを実感しました。
Q導入に際して、GVRL以外のeBookのプラットフォームと比較検討されましたか?
A導入に際しては、他のeBookとGVRLの比較検討は行いませんでした。ただ、以前にやはりXreferPlus というDBを一年間契約していたことはあります。導入したときはなかなかよいレファレンスだと思ったのですが、利用が伸び悩み、費用対効果の面で中止した経緯があります。また、先ほどお話ししました、読むeBookであるOCLCのNetLibraryを導入しています。
Q他のプラットフォームと比べて、とのような点がGVRLの長所(或は弱点)だと思われますか?
A現有の百科事典の持つ専門性が強みでしょうか。プラットフォームそのものについてはシンプルさだと思います。
Q 学生や教職員の方の反応、利用状況はいかがですか?
A 直接学生や教員からの問い合わせはないのですが、利用統計を見るとかなり使われていることが分かります。以前に導入したeBookの利用率が悪かったこともあり、eBookはハードルが高いのかしらと懸念していたのですが、それに反して、4月には驚くほどの利用がありました。夏休みに入って少し利用頻度が落ちましたが、学期が始まったことですし、これからまた多く利用して欲しいと思っているところです。
先生方からも、課題や授業で利用していただくなど、GVRLを学生さんに奨励していただく機会があるといいと思います。
そうですね。先生から言っていただくと効果がありますね。
Q書籍とeBookを比較した場合、両者の強み(或は弱点)はどのようなところにあると思われますか?
A書籍とeBookは、大学の予算上、資産と資産外の区別をしています。GVRLは買い取りですが、残念ながら資産としては計上できません。そんなところがeBookの弱点ではないでしょうか。一方、書籍は先ほどお話ししましたように、利用面で物理的な制約があることが弱みです。逆に、eBookは同時に何人でも利用できますし、場所も図書館内に限らず、研究室やパソコンルームからも利用できるのは強みです。一方、ブラウジングができるというのは書籍の強みですね。
Q今後、新しいレファレンスが刊行された時、書籍とeBookどちらで購入するかの判断基準は何ですか?
A同価格なら、私はもちろん電子で購入します。電子は場所をとりませんし、学内ネットに繋がったところならどこからでも検索閲覧できるからです。どちらかを取らなければならないとしたら、世の中の動きからすれば、将来的にはオンラインが優先されていくと思います。特にGaleのレファレンスなどは、検索するためのツールですよね。その点からすれば、冊子体よりオンラインのほうがはるかに検索は早いし、横断検索もできますから、便利ではないでしょうか。
オンラインの利便性を述べていただきましたが、冊子体がないと不安ということはありませんか?
私は、利用できる権利がしっかり確保されていれば問題ないと思います。ただ、日本では、 冊子体を保有したいというのが一般的な考え方ですから、理解を得るのにはまだまだ時間 がかかりそうですね。
レファレンスサービスの形態が変わるかも
Q既に書籍で所蔵されているレファレンスをeBookで買いなおすことはありますか?
A予算が十分あるなら買いなおすこともあるかもしれません。オンラインに置き換えられるものは置き換えていくという基本方針は変わりませんが、既にあるものを買いなおす場合は、また新たに購入することになりますから、予算措置が必要となります。従って、買いなおしは、ある程度、予算に余裕がある場合に限られると思います。
Q初回導入時に選んでいたただいたラインナップを拝見していますと、
かなり広範囲にわたりバランスよく選ばれているようですが,選書の基準などはあったのでしょうか?
Aいえ、特にはありませんでした。いただいたパンフレットの中から、メインの商品を中心に選んだ結果です。
広くいろいろな分野で利用できるレファレンスをまず選ばれたことで、利用頻度があがったとも考えられますね。
はい。一般教養と言いますか、GVRLにアクセスすれば何か答えが返ってくるようなラインナップを考えて選びました。
そうですね。最初に入っているタイトルが少なかったり、偏ったものですと、利用者が離れていってしまいますから、導入時のタイトル選定はとても大事だと思います。
Q画面の使いやすさはいかがですか?
Aシンプルなのがいいです。検索の仕方も簡単ですし、実際、検索方法の質問を受けたことはありませんが、利用統計を見ると学生も使いこなせているようです。
Q自動翻訳機能についてはどう思われますか?
A欧文の資料の敷居を低くする意味ではあってもいいのではないでしょうか。でももっとこなれた日本語ですといいですね。
翻訳機能については、今後、改良を重ねて参ります。また、現在、日本語のインターフェイスを開発中ですので、もうすぐご紹介できる予定です。やはり入口が日本語になっていれば、初心者でも利用しやすくなると思います。
それはおもしろいですね。楽しみにしています。
Q今後、eBookの導入が、図書館の役割をどのように変えていくと思われますか?
Aレファレンス資料が、図書館のみならず、研究室からも自宅からも利用できるようになるとレファレンスサービスの形態が変わるかも知れませんね。たとえば、レファレンスサービスでもデジタル・レファレンスが主流になってくるとか。
知りたいことがあったらGVRLを検索してほしい
QGVRLを学内で広く利用してもらうために、特に図書館で実施されていることはありますか?
Aホームページの掲載くらいでしょうか。タイトルリストを掲載しています。その理由は、GVRLのコンテンツがしっかりした百科事典であり、Googleとは違うということを理解して利用してもらうためです。それから、上智大学では、一年生に情報リテラシーという必須授業を課しています。その中に、英語で行われるクラスがあるのですが、この間、データベースを紹介する時間がありました。そこで私は、「北朝鮮」というテーマでいくつかデータベースを調べて見せたのですが、GVRLからは、かなり多くの記事が検索結果として得られ、とても役に立ちました。
ありがとうございます。お話は変わりますが、以前、図書館のホームページを拝見した時に見つけたのですが、「eBookを読もう」というキャンペーンを実施されていましたよね?
はい。夏休みの企画としてキャンペーンを実施しましたが、あの企画は、単行本が対象でした。GVRLであれば、「eBookを使って調べよう」キャンペーンにしないといけないですね。それもおもしろいかもしれないですね。
弊社でもお手伝いできることがあれば、是非ご相談下さい。
Q図書館側として、GVRLをどのように利用してもらいたいですか?
Aとにかく知りたいことがあったらGVRLを検索してほしいですね。それには図書館でもっとGVRLのコンテンツを充実させなければならないでしょうか。
QGVRLについて機能面などご要望があれば教えてください。
A心理学・ジャパノロジー(日本研究)などでしょうか。機能としては、Citation がダイレクトに文献管理データベースにエクスポートできるはいいですね。
Q最近、無料の検索サイトがよく使われています。例えばウィキペディアなどもその一例ですが、
出版社がご提供するデータベースと比較してどのような感想をお持ちですか?
Aウィキペディアもすごいと思いますが、図書館として、学生に薦めることはできません。やはり典拠がはっきりしないですし、実際にレポートに「ウィキペディアより」と書けばレポートの点は悪くなってしまいますから。(笑)その点、出版社のデータベースは心配がありません。例えばGVRLにしても、定評のあるGaleの百科事典が裏にあってできあがっているデータベースですよね。
ありがとうございます。追加で申し上げますと、ウィキペディアとの違いで挙げられることは、参考文献一覧までしっかり紹介してあることでしょうか。
ウィキペディアも多少は対応しているようですが。GVRLはレファレンスをオンラインで閲覧いただく商品ですが、レファレンスを入口として、
そこから調査を広げていく使い方ができるのは、これまでに出版してきた本という伝統があるからこそだと思っております。
Q契約形態、条件、価格などはいかがですか?
AIP認証なのがいいですね。買いきりなのもいいです。ただ、価格はFTEですが、もう少し安くなるといいですね。
Q今後、GVRLの導入をご検討される大学に向けて、メッセージをお願いできますでしょうか?
A冊子体では敷居の高かった英語のレファレンスツールが、eBookになったことで、誰でも使いこなせるようになると思います。
貴重なお話ありがとうございました。



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