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柴田元幸先生

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kitamura-satoshi[1]
LRCは、「ここで載ってなければ、もうしょうがない!」という、場所です。

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Q先生はLiterature Resource Center(以下LRC)をどのような時に利用されていますか?

A現代作家の伝記的情報と、それから作品一覧、作品名とか出版年とか、その情報が一番多いですね。ですから昔は本だったら、100何巻あるContemporary Authors で、紙で見ていた情報を、僕は今ウェブで見ています。LRCだとけっこう突っ込んだ批評も読めるわけですが、そっちはあまり使いません。もっぱら作家の伝記情報をメインで使っています。

QそうするとContemporary Authors とか、Dictionary of Literary Biography とか、あちらの方の内容がメインということになりますか。

Aそうです。そういうことになります。

Q本しかなかった時代からお使いいただいているということですが、 本と比べてLRCの使い勝手はいかがですか?

A そりゃもう、ずっと早いですよ。Contemporary Authorsの本だと、まずインデックスを引いて、何巻に目的の情報が収録されているかを見て、しかも普通のContemporary Authorsシリーズと、Contemporary Authors New Revision Series があったり、Dictionary of Literary Biographyがあったり、Contemporary Literary Criticism があったり、いちいち引いていたら大変ですよね。そりゃもう、スピードがぜんぜん違いますよ。

Q本をご覧になるときは図書館に行かれていたと思うのですが、今LRCは主に研究室で?

Aええ。自宅でも引けるし。

Q LRCに収録されている作家の範囲については、どう思われますか? (このジャンル・地域の作家が少ない・多すぎるなど)

Aまっとうな、一応「純文学」といわれる枠に入る人で、デビューしてから3年ぐらい経っていればまず入っていますよね。僕は現代文学の翻訳をやっているのですが、自分が関わっている作家が載っていないということはまずないです。

ごくたまに、具体的に言うとバリー・ユアグロー(Barry Yourgrau)という、僕も何冊か訳している作家がいるんですが、彼なんかはあまり大きな出版社から出ていないし、アカデミズムでも取り上げられていないので、そういう人は漏れることはありますね、やっぱり。すべて何でも網羅するというわけにはいかないだろうから、しょうがないでしょうね。けっこうアップデートもまめにやってあるし。

Qたとえば「こんな作家が入っているのか!」という例はありますか?

Aむしろ「この人が入っていないのか!」とたまに驚くぐらいです。いつも入っていて当然ですから。しかも紙でいろんな資料を別々にひいていたときと違って、LRCでは古典作家の資料も一緒に引けるわけですよね。メルヴィルやホーソーンといった重要作家にもなると、ものすごく充実してますよね。

Q先生は翻訳もなさっていますが、そういうときにLRCを参照することはありますか?

Aあとがきを書くときには必ず参照します。この人は何年生まれで、どういう作品を書いているか、といったことの基本的資料です。作品一覧などは、Amazonでだいたい分かるって言われてるんだけど、Amazonに載っているのはその本・その版の出版年であって、その作品の出版年ではないことが多いし、いまひとつまだ信頼性に欠ける。

Q画面の操作性はいかがですか?

A特に操作面で問題があると思ったことはないですね。パスワードをいれて、まずLRCかMLA のどちらかを選びますよね、それでLRCの方に入ったら作者名を入れて検索して、それでいくつかソースがある場合には、どれか選んで…。それでどれもクリックしたらそんなに重くない、すぐ出てきますから。

Q授業やゼミのなかでLRCを紹介されたり、活用されたりしていますか?

A授業ではそうないかな。まずは作品をどんどん読めということで、あまりリサーチを強いることはないので。ただ、学生の方から「この作家の伝記的情報はどこで分かるんですか」とか聞かれたらLRCのことをもちろん教えますけど。たしかに、学期はじめにこういうものがあるとみんなの前で宣言したほうがいいかもしれないですね。

ぜひそうしていただけると。もし説明会などが必要でしたら呼んでいただければ参ります!

A僕もどこまで使いこなせているのかわからないんですよね。もっぱら作家の伝記的事実を見ているので。MLAの方はあまり使っていないし。

Qたとえば雑誌記事なども検索するとヒットしますが、そちらの方は?

Aそっちまで行くこともありますけど、でもあまり雑誌記事は欲しいのが…。Village Voiceとか、その辺がほしいので、僕は。New York Review of Booksとか。

Qこれは現在は原誌でご覧になっているんですか?

Aはい。

Q これがもしLRCに入ればお使いになるかもしれないということですか。

Aそうですね。アカデミズムの人でNew York Review of Booksを見る人はけっこう多いと思います。Village Voiceは現代文学やっている人間じゃないと、あまり学者は見ないですね。僕はすごく信頼していますけど。あとは何かなぁ…New York Timesはどうなの?

…入っていないと思います。

New York Timesは1981年ぐらいからかな、一般記事は有料なんですけど、書評は無料なんですよ。その前の書評が見られると、けっこうありがたいですね。まあ、New York Timesなので量は半端じゃないけど。

QではLRCに関しては、主に伝記情報はお使いになるけど、評論の方はあまりお使いにならないということですね。

Aはい、でもそれはひとえに僕の怠慢のせいですね。人の話を聞くだけの根気がない(笑)。

Q最後に、これからLRCを使い始める方々にメッセージをいただけますか。

Aとにかく、「ここで載ってなければ、もうしょうがない!」(笑)という、そういう場所ですね。古典であれ現代であれ、「これ誰?」、「この人どういう人?」と思ったらとりあえず名前を入れてみて下さい。アメリカ作家でなくたっていいんです。このあいだノーベル賞をとったトルコのオルハン・パムク(Orhan Pamuk)もちゃんと載ってます。

ありがとうございました。

ゲストのプロファイル

柴田元幸 (しばた・もとゆき)

東京大学文学部 英文科教授

現代アメリカ文学専攻

■主な著書:

アメリカン・ナルシス」 (東京大学出版会、2005年サントリー学芸賞受賞)

「アメリカ文学のレッスン」 (講談社現代新書、2000年)

■主な訳書:

ポール・オースター 「幽霊たち」 (新潮社、1989年 同文庫、1995年)

スティーヴ・エリクソン 「黒い時計の旅」 (福武書店、1990年 同文庫、1995年 白水Uブックス、2005年)

スチュアート・ダイベック 「僕はマゼランと旅した」 (白水社、2006年)



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